クラレ、ユニチカ・ビニロン事業、早期フル稼働に手ごたえ
2008年06月23日 18:20 |
|
「ビニロン」を展開するクラレ、ユニチカがともに増設を進めている。いずれもアスベスト代替用途に展開するFRC(繊維強化セメント)「ビニロン」の販売が絶好調で推移しているため。両社はともに年末ごろに増設を完了させ、旺盛な需要に応えていきたい意向を示している。
◆20億円を設備投資◆クラレ、ユニチカがFRC「ビニロン」の増設を進めている。ともに20億円を設備投資し、クラレは年産2万5000㌧から同3万㌧に、ユニチカは年産1万㌧を同1万3000㌧にそれぞれ引き上げる。
クラレは12月から新設備を立ちあげる。「全ての売り先についてほぼめどをつけた」としており、1-2年でフル操業させたい考えだ。
ユニチカの新設備は10月から滑り出す。年内で安定稼働を実現した後、年明けから「垂直的フル操業を実現できる」との手ごたえを示す。
後進国では、強度を引き上げるため、今もセメントにアスベストを混入しスレートなどの最終製品が製造されている。しかし、世界的なノンアス化の流れを受けたFRC「ビニロン」の世界的な需要増に伴い供給タイトが続いていたという。
FRC「ビニロン」を製造するのは、日本のクラレ、ユニチカと中国にある4社の合計6社に過ぎないという。中国では、北京オリンピックをにらんだ環境規制強化によって昨年、最大手のFRC「ビニロン」メーカーが減産に追い込まれ、世界的な玉不足に拍車がかかっていた。
今回、クラレ、ユニチカが増設を行うことでグローバルな生産規模は8000㌧も増大する。中国では、最大手が原料の増設を表明しており、現行の年産8万5000㌧を同10万㌧に増やすとき、「5000㌧分くらいを『ビニロン』繊維に向けてくる」(ユニチカ)と見られている。
3社の増設分を合計すると1万3000㌧に膨れ上がるものの、それでも「当分、FRC『ビニロン』の需給タイトは続く」(クラレ、ユニチカ)という。
アスベスト規制がまだ実施されていないタイで最大手のスレートメーカーがアスベストからFRC「ビニロン」への自主的切り替えを進めるなど、アジアや東欧で今後も発生する新規需要がグローバルなマーケット拡大を支えていくと見られているからだ。
両社ともに新設備ではこれまでよりも強力を引き上げた新しいグレードの商材を生産するとしており、FRC「ビニロン」市場におけるトップゾーン狙いのアプローチを強化し、シェアアップと取り組んでいく。
クラレは新規需要の発生が見こめるチェコ、ウクライナ、ポーランド、トルコをターゲットとする販促を新設備を立ちあげる年末くらいから本格化させる。
◆08年度課題は値上げ◆
両社とも、新設備が動き出す年末までは「値上げ作業を徹底する」と、この間の原燃料高騰に伴うコストアップにもかかわらず価格転嫁を仕切れていない用途、ユーザーへの働きかけを強化し、08年度前半はビニロン事業の収益改善に重点化する。
また、クラレはFRP(繊維強化プラスチック)「ビニロン」での開発、拡販を進めるとともに、新規PVA繊維「クラロンK-Ⅱ」による新規用途開拓を強化。今年、本格販売をスタートさせた「パワロン」軽量帆布に続く新規商材の具体化を急ぐ。
ユニチカは「ビストロン」(高強力「ビニロン」長繊維)で耐切創手袋向けの拡販を計画するほか、耐震補強用途における物件対応に力を入れる。
FRC「ビニロン」の次の増設については、「次の中期計画で検討する」(クラレ)、「次もやりたいが、原料の調達がネックになる」(ユニチカ)としており、両社ともグローバルな需要や原料価格の動向、中国勢の出方を見極めた上で、前向きに検討していく構えを示している。












